A5判、全2巻、上592ページ、下600ページ、
原稿枚数10万字(400字詰め2500枚)弱。
故・草森紳一さんの『中国文化大革命の大宣伝』。
このたび芸術新聞社さんから刊行されました。
本書は雑誌『広告批評』での108回(煩悩の数)にいたる連載
(1989年1月号~1999年5月号)を書籍化したもの。
上巻の跋は天野祐吉さん、下巻は椎根和さんが執筆されています。
下巻の巻末に収められた「刊行にあたって」によれば、
草森氏には連載終了後、
いくつかの出版社から書籍化の打診があったそうです。
しかし、四百字詰め原稿用紙千五百枚(六十万字)は
書きたしたいという考えを伝えると、
みな手を引いてしまったと聞いています。
「とにかく前進させましょう」ということで、芸術新聞社さんが
校正用のコピーを草森さんに届けたのが、2007年。
それから1年後の2008年3月に、草森さんは亡くなられました。
したがって連載時の原稿のまま、
最低限の修正にとどめて本書が出版された、というわけです。
(にしても、大変なお仕事だったとお察しします)
いきさつのご紹介が長くなりましたが、
本書は、天野さんも書いていらっしゃるように、
中国の文化大革命を「広告」「宣伝」という視点から論じた内容。
■くわしい内容は芸術新聞社さんのサイトをごらんください。
■また草森さんについては「白玉楼中の人:草森紳一記念館」
というサイトをどうぞ。
自らが宣伝媒体と化し、長江を泳ぐことで健在を示した毛沢東、
世の中を震撼させた紅衛兵たちの行動(というか暴走)、
矢継ぎ早に貼り出され、貼り重ねられたた壁新聞等々・・・。
1960年代後半から中国を席巻し、世界を驚かせた、
文化大革命の様子とそのシステムが仔細に描かれています。
草森さんは文学から美術、書、写真、デザインなど、
広範なジャンルの文章を残されましたが、
本書では、草森さんの中国文化に関する学識が、
20世紀の文化大革命の読解のバックボーンとして感じられ、
たんなるプロパガンダ分析とは異なる「深み」があります。
また、プロパガンダの手法、それが流通していくプロセス、
やがて人の手では制御できない混沌状態に陥ってしまう様子は、
インターネットの世界でいう「炎上」を連想してしまいます。
なにせ大冊のため読書途中でのご紹介ながら、
政治、現代史、文化史、広告はもちろん、
情報産業に関わる人にも手にとっていただきたい必読書、
という手ごたえが伝わってくる。
長々と書き連ねましたが、とにかくダイナミックで、怖ろしくて、面白い!
本書では各章ごとにモノクロ図版が掲載されていますが、
ご参考までに手許にあった別の本から、数点ご紹介しておきます。
こちらは文化大革命時代の宣伝美術を収録した
Chinese Posters: Art from the Great Proletarian Cultural Revolution
(Lincoln Cushing & Ann Tompkins, Chronicle Books, 2007)より。
こちらは中華人民共和国の歴史を写真でたどった大冊、
China, Portrait of a Country
(Liu Heung Shing[ed] , Taschen, 2008)より。
最後にちょっと自社の宣伝。
平凡社ライブラリーから刊行されている『毛沢東語録』も、
あわせてお読みいただければ幸いでございます。



































